「先生!誤嚥の嚥が常用漢字表にありません!」

「直説法で漢字重視って、どうやって教えているんですか?ベトナムは非漢字圏です。そんな教え方をしたら、漢字嫌いの学習者を作るだけだって、養成講座(日本語教師の養成講座かな?)で習いました。それに介護の言葉なんて、ベトナム語の辞書に載っているんですか?

と、昨日の記事をご覧になったと思しき方から、匿名のメールでコメントをいただいた。

取り合えず、「ベトナムは隠れ漢字圏ですよ」ということと、「うちのクラスには、ありがたいことに漢字嫌いはいないんですよ」という事実。それから、「ええ、介護用語が載っている辞書なんか、あれば欲しいです」とだけ返信したんですが、、、、どこで僕のアドレスわかったかな?(笑)

さて、上の写真、学生が使っている漢字アイテム。初級の途中から右の「常用漢字表」を配布し、初級の後半から中級が見えてきた段階で、希望者を募って発注するのが左の「常用漢越熟語辞典」です。毎年、みんな欲しがりますね。どう使うのか?って部分は、企業秘密ってことで(笑)

以上、いただいたメールコメントへのお返事とさせていただきます。

ちなみに、常用漢字表は、日本の東京・品川にあるメコンセンターの発行で、ベトナムでも手に入れることができます。「常用漢越熟語辞典」の方は、サイゴンの出版社が出しているもので、ハノイなどの大きな本屋では割と簡単に入手可能です。

さて、昨日の起床時の介助のロールプレイに続いて、今日は「食事の介助」に入りました。

今回はいきなり会話に入る前に、新出単語のチェックの後「食事の介助をするときに、どんなことに注意したらいいか?」と問いかけてみた。

というのも、オモシロいんですよ。ベトナムの看護学生に「食事介助」の話をするのは。
なぜならば、ベトナムの病院には病院食の提供がないので、看護学生といえども「食事の介助」したことがないんです。

そこで、僕が先月の入院の時に「バインミー(フランスパン)」1本食べて血糖値が上がって、元に戻っっちゃった話をして、「制限食」とか「減塩食」の話をしてから、各自の実家に高齢者がいるかどうか、どんな食事をしているか、食事の際にどんなお世話をしているか。そんなことを考えさせた結果、出てきたのが板書の内容。

更に、学生が気づかなかった部分を、人形の「福さん」「幸さん」を使って実演してみる。学生たちは、「あああああ〜」と気づき始めた様子。

そう、食事を喉に詰まらせたり、こぼして着ている服を汚したり。そんな時のために事前の準備は何をしたらいいのか?

時間はかかったけど、オモシロかった。もちろん、「誤嚥」とか「誤飲」などの言葉は僕の補足事項。

すると、、、ある学生が、、、、「先生、誤嚥の嚥という字は、常用漢字表に載っていません」

「そう、そうなんですよ。だって、常用漢字じゃないんだもの(笑)でもでもでも、あなたたちにとっては、これから常用になる漢字。わかる?」

与えられた単語表を暗記するだけの勉強は、僕の主義としてさせてこなかった。だからこその常用漢字表であり、常用漢越熟語辞典なんだけど、わからない言葉にぶつかると、咄嗟に常用漢字表を見る癖が身についていることは心強い。でも、ここから先の学びの中では、常用漢字を超えた部分での言葉が格段に多くなってくる。

その時に、どうするか。

あ、企業秘密なんですけどね(笑)

学生たちはもう気づきだしている。頼もしい学生たちである。

明日の夕方には、介護担当教師のO先生が、ダナンに着任予定。
「介護の日本語」の授業そのものは、残り16時間。
そんな学生たちに、激励のクリックをお願いします。
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