ベトナム語禁止条例

我が日本語クラス「DAN33」には、3チームが存在する。

チームDは、9月に医療短大を卒業したダナン(Da nang)のお姉さんチーム
チームNは、医療短大の3年生で看護学を学ぶナース(Nurse)のタマゴたち
チームAは、Dに混じって日本語を学ぼうとする、外国語センターのA先生、H先生。ふたりとも英語が専門。まあ、ベトナム語で英語はTing Anhなので(笑)


また、別働隊でチームK(某日本料理店「K」の従業員たち)もあるのだが、それはさておき。


先週の土曜日から、チームSが誕生した。
簡単に言うと、Dの学生たちの「もっと勉強したいです」と、Sの学生の「病院の実習などがきつくて、土曜日の長時間授業は厳しいです…」と言う2つの意見の間を取ったのと、

僕自身、もう少しオモシロイ授業をやって学生たちに刺激を与えたい。通常の授業では、時間の制約もあって今ひとつ踏み込めない「会話」や「漢字」の徹底、長文の読解などを学ぶ機会を作ってあげたいと考えていたのを、実行に移したワケだ。

それと、ブログ仲間なのだけど、サイゴンで日本語教師をされている方の、「日本語能力試験が終わって(12月第1日曜日)、N1級受験対策を超えた「超級」の授業を始めた」と言う記事に刺激を受けたことも、大きなきっかけではある。ブログを通してだけのお付き合いなのだが、ベトナム人に対する日本語教育、特に漢字教育に対する考え方など、共感することも多いし、勉強になることも多い。負けちゃおられん!と思ったのは事実。

要するに、11月に行った、土曜午後のロングラン授業により「スピードアップ」に続く、「土曜の午後、有効活用計画、第二弾である。

ま、思い立ったら吉日と言うことで、手持ちの教材を物色し、手を加えれば使えることを確認して即実行。
まずは、朝のチームDに話したところ、間髪入れずに


「先生、勉強したいです」


よしよし、と言うわけで、土曜日の午後、2時から4時までの2時間とした。

で、このチームの新設にあたって、いくつかの参加条件を作った。正規の授業が疎かになっては本末転倒なので、それぞれの授業にきちんと出席して、一定の成績を残していること。内容を説明した上で、自ら参加を希望した者。そして、本気で「日本語で日本の介護を学んで、できることなら日本へ研修に行きたい」と希望している者。

と言うわけで、希望者を募ったところ、チームS18名が誕生したわけだ。


先週の土曜日、2時10分前に教室に行ってみると、、、、もう全員来てる。それに、良い具合に、DとNの学生が入り交じって座っている。

そして、久しぶりにしっかりと晴れていることもあるのだけど、熱気でムンムンしている。
そう、これこれ。この雰囲気を作りたかったのさ(笑)

そして、授業開始。今まで、黙っていたことを厳かに言い渡す。

「このクラスでは、教室に入ってから授業が終わって外に出るまで、休み時間も含めて、ベトナム語禁止です。」

あれ、予想外の反応。みんな、笑いながら頷いているのだ。
これは、正直予想外。でも、まあ、学生の方は予想していたのかもしれない。

早速、あまり徹底できない会話から。正規の授業ではあまりバリエーションを増やさずにさらっと終わらせてしまった、自己紹介と、互いに紹介し合う練習。オリジナルで10パターン作ったのだが、チームDの面々が後輩のチームSの子たちをリードする形でペアになって練習している。


ふ〜む。


これは、教師の予想を上回る効果が期待できるかもしれない。

10年前、ハノイの教室で僕は「ベトナム語禁止」を徹底した。あの教室は、完全に日本に行くことを大前提にした、「日本の看護学校受験予備校」の教室だったし、曖昧な日本語での表現が、そのまま日本の病院の患者さんたちの、命に直結するからだ。

日本語教師よりも、その意味では厳しかったと思う。あ、その時の僕の立場は「受験の国語教師」だった。

だから、僕の事が嫌いな「ベト看」の学生たちは多い、、、、、と思っていた。ところが、今年の2月にある大学で「EPAによるベトナム人看護師・介護士候補に関するシンポジウム」があって参加したときに、「外国人看護師に対する聞き取り調査」をした研究者から「誰に聞いても、先生の名前が出てきました。あの勉強の仕方でよかった、感謝していると言ってましたよ」と伺った。

教育なんて無形のものだから、あまり即効性ってのはないと僕は考えている。もちろん、目前の目標達成とか、合格とかは実現させるけど、本当にそれでよかったのかどうかは、その場ではわからない。10年経って、「ああ、あの時は大変だったけど、あれでよかった」と思ってくれているのなら、本当に嬉しい限りである。


そんなわけで、来年の9月から3か月の「介護の学び」を終えたとき、優秀な学生が数名、日本の社会福祉法人の施設で研修を受けるのだが、、、、

今は参加していない学生も、勉強の仕方を整理して、努力して、チームSに参加して欲しい。

チームSのSは、スペシャル・チームのSではない。「さくら組」
ベトナムの学生たちは、みんな桜が大好き。
きれいな桜を、咲かせて欲しい。



そうそう。

先月末に、NPO法人の理事3名が、ダナンの教室を視察に来た。
その際、介護士教育のスペシャリストであるK氏が、これから「日本の介護」を学ばんとする学生たちの教室を、介護教育に携わる視点で垣間見た様子をご自分のブログで紹介してくださっている。

ぜひ、ご覧下さい。

kaneablog"マックス" 「Tourists from the stars21」

http://star.ap.teacup.com/kaneablog2/1404.html

独特の感性と表現で、楽しめる中にも、学生たちや我々ダナン派遣講師への熱い檄も含まれています。
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