なんてこった!初めての点滴(2)

足が腫れているのを見た学生たちに、ダナンC病院に連行された訳ですが、、、

血液検査の数値が記入された通知票は2枚あって、1枚目を受け取って帰ってきたトゥイ先生は、ニッコリ笑って「大丈夫です。でももう1枚あります。まだ時間がかかります。」
この時点では、まあ大丈夫でしょ?って雰囲気だったんですけどね。

現場のナースに促されて、2枚目を受け取ってきたトゥイ先生の渋い顔、、、、「せ、先生、、、、これは、、、、糖尿病です。。。」

な、なぬ?

ここまでが、前回UPの記事 初めての点滴(1) でした。

血糖値が一般的な数字を遙かに超えていて、まあ、これが常時この数字なのかというと、僕にも言い分があるわけですが、科学的根拠に従って可能性を判断するのが医学。
一時的なものかどうかなんて、しのこの言う前に異常が認められる以上、最善の策を取るというわけです。

それで、ドクターから「とりあえず入院して様子を見て、検査をしましょう」という提案がなされたのですが、
その入院が何日になるのか、、、、という大切な問題があります。なんせ、7月の「日本語能力試験」に向けて追い込みの真っ最中。時間的な余裕は、全くない状態。

事情を話して、何とか入院は回避したいと訴えたところ、ダナン病院、ダナンC病院(この病院)にはうちの大学(ダナン医薬技術大学)の学生が常時実習に来ているし、卒業生も多く採用されています。
日本語・介護クラスが開設されていることも有名、日本人の日本語教師、、、、僕も有名人(笑)

そんなわけで、「注射で薬を入れて、血糖値を下げましょう」ということになりました。

注射、、、、学部時代の恩師がやはり糖尿病で、ご自分で簡易検査をして注射されていたのを思い出し、、、ああなっちゃうのか、、

既に書いたとおり、病院で診察を受けることも、治療を受けることもほとんど経験がないので、とにかく周囲の流れに乗るしかない。

「先生、そのベッドに寝てください」寝るの?「はい、注射しますから」

寝る?ベッドに寝る?
寝た状態でどうやって、どこに注射を打つの?

あ、あれは幼稚園の頃だったか、ほとんど覚えていないのだけど鼻炎だかなんだかを悪化させて、とにかく当時住んでいた東京・八王子市の西八王子駅近くの耳鼻科医院だったけど、臀部(お尻)に注射されたことがある。
ちょっと待て!この子たち(うちの学生)の前で、臀部をさらけ出すのは勘弁して欲しい、、、、でも、学生だけど看護師だしなあ、、、(笑)

と、あたふた頭の中で葛藤している間に、「点滴」の台が準備されベッドの横に据え付けられた。

ん?注射じゃないの?

「先生、注射をしますから、横になってください」

あのねえ、これ、注射じゃないから!「点滴」だから!『介護の言葉と漢字・ハンドブック&ワークブック』で確認しなさい!(笑)

と言うわけで、生涯初の点滴ですよ。しかも、薬が大きい。これが、、、インシュリンってやつ?

「先生、2時間ぐらいかかります。ゆっくり休んでください」休むって、、、既に時間は16時を回っている。こりゃ、今日の授業はできませんな。

「先生、学校と、クラスに連絡します」

そうだね、こうなっちゃった以上、学校には連絡しなければならないし、派遣元の社会福祉法人にも連絡しないと。
はあ、大げさなことになっちゃったなあ、、、、、、と溜息をついた瞬間に、手の甲にチクリ。

まさに、なんてこった!ですよ。

大きいのがインシュリン。小さいのが足の腫れを抑える抗生剤だそうで。

まあ、痛いとか、身体的な苦痛は感じませんでしたが、問題は心の葛藤。
とにかく、病院・病気慣れしていないので、不安なんですよ。
「ほっとくと、いつか倒れるよ!」って説明を受けたわけで、今すぐどうなるとか、外科的手術が必要だとか、そういうことではないのだけど、

こっちはとにかく「初めての点滴」ですから(笑)

昔は献血が趣味みたいになっていて、高校時代から何十回と提供して表彰のバッチをもらったこともあったなあ、、、などと思い出す。ああ、そうそう、予備校の恩師のご親戚が血液系の難病にかかり、たまたま条件が合致した僕が精密検査を受けた末に提供したことがあったな、、、、などなど。
とにかく、外部の薬品や機械と、自分の体内がつながった経験なんて、献血ぐらいしか思い浮かばないのである。

そんな、無意識の不安?どうしようもないのだけど、何とも言えない嫌な感覚を覚える、、、そんなとき、初めて気づきました。

「あ、ナースの笑顔って、こんなにも安心するもんなんだ」って。

いや、ナースと言っても、学生なんですが(笑)

「先生、大丈夫ですから、ゆっくり休んでください。」

自分の学生なのに「いてくれるだけで安心するもんなんだな」とか、「この子の笑顔、こんなに素敵だったっけ?」
そして、「ありがとう」って素直に声に出せるもんなんだなとか、、、
教室での2年間弱で築いてきた信頼関係とは、また別のところで「ああ、ナースなんだ。プロなんだ」と気づかされました。

もう20年も前に、5月12日の国際看護の日(ナイチンゲールの誕生日)にちなんだ「看護週間の看護体験」に参加したことがあるんだけど、
自分は「白衣の天使」じゃなかったな(笑)

患者側の体験って、本当に初めてなんだけど、「ああ、心細いもんなんだな」と、患者側の思いを体感できたことはよかった。

どさくさに紛れて、トゥイ先生の手を握るとニッコリ微笑みながら握り返してくれる。
その様子を見て、すっとその場を離れる、無意識の気遣いをしてくれたユンさん。

うちの学生たち、やるなあ、、、と思いました。

学生を介して、医師に食事や飲み物(←これ、大事ね!)についての諸注意を聞く。
「ビールは絶対にダメなのか?」と聞くと、「少しならかまわないのだけど、明日、ちゃんと検査をしてからね。担当医に聞いてください」

この時点では、「ああ、完全に禁酒にはならないんだな。助かった」と思ってたんですけどね。この時点では(笑)



ようやく心が落ち着いてきたところに、学校の科学研究部の部長であるニュン先生が来てくれた。

「先生、今日はここに泊まって、静養してください。先生、忙しすぎるよ」と厳しい表情で話し、学生たちに指示を出す。

ところが、学生は「先生は7月7日の私たちの日本語の試験のことを心配しています。入院しろって言っても、聞きません」

「先生、学生たちのことや授業のことも大切ですが、先生の健康はもっと大切なことです。良い機会なんだから、医師の指示に従って、最善の方法をとってください。先生の学生を思う気持ちに感謝します」と言って、帰って行きました。

いやいや、彼が来てくれるとは思わなかった。これは、学長まで話が伝わってるな。明日は大変だな、、、、交通事故の翌日の記憶がよみがえる(笑)

ところで、「なあ、あの先生、酔っ払って弾けると大変なんだけど、今日は真面目だねえ」と話すと学生たちに大受けしていました。



そうこうするうちに、18時近くなって教室で自習してくれていた学生たちもやってきた。

次回の更新、「初めての食事介助」編に続きます。


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