海で祈る

前記事でもUPした、4月12日(火)雄王の命日、記念日の話である。前夜、授業終了後に学生から電話が掛かってきて、「明日、みんなで海を見に行きませんか?」と言うお誘い。

正直、ちょっと気が進まなかったのだ。
だって、、、、、海だから。

でも、この子たちの発想には、時々思いがけなく感心させられることもある。何か意図があるのかもしれない、、、、と考え、集合時間に校門まで出てみると、20人の現役看護学生のクラス、半数以上の学生が集まっていた。

バイクに便乗して、目指すはミーケビーチ。正直、バイクも怖いのだが(笑)

2月に来た時はまだまだ泳げるような天候ではなかったけど、ここ数日すっかり暖かく、、、ってのは地元の感覚で、日本人的には十分暑くなってきていた。ビーチにはパラソルが並び、なぜか水着ではなく服を着たままの若者たちが泳ぐ、、、と言うか水辺ではしゃいでいた。

後で学生に聞いたら、水着姿を見られるのが恥ずかしいので、水着の上に着て隠したりするのだそうな(笑)それを奥ゆかしいと評価して良いのか否かについて、僕は判断基準を持ち合わせていない(笑)

ん?男性諸君も服着たままだけど、恥ずかしいんでっか?

さて、ビーチに着いて木陰の芝生の一角に陣地を作る。みんな小休止なのだが、浜辺で上半身裸になっている欧米人の姿を遠目に見て恥ずかしがったり(笑)、すぐ近くの「監視塔?」日本では海水浴場では指導員が海の様子を見ていたりしますよね。あれのそばに座っている欧米人男性とベトナム人女性(に見えた)のカップルを羨ましそうに見ていたり(笑)

やがて果物や飲み物を調達してきた学生数名も到着し、ピクニック気分のおやつタイムである。スイカやらの果物を中心に、その場でナイフを入れて勧めてくれるのだが、、、、僕的には足りないアイテムがございまして、当然のように察した学生が近くの「海の家」から購入してきてくれた。

アイテム。もちろん、ビールである。地元ダナンのビール・ラルーである(笑)

学生たちは輪になって歌いながら果物を回し、イス取りゲームみたいなことをやっている。ずいぶんと楽しそうなのだが、まあ、看護学の試験がようやく終わったらしく、今日は病院実習もないので、久しぶりに日曜日以外の休み、解放感一杯なのだろう。

やがて、「先生、海へ散歩に行きましょう!」

はいはい。すると、、、、

このビーチ、向かい側の半島に観音様が建っている。意外と大きなお寺なのだが、
その観音様に向かって、学生たちが合掌したのだ。(その瞬間の写真は取り損ねた)

え?

一瞬理解できずにいると、教室では一番前の先に陣取る「先生、大好き!」な学級委員的存在の学生が目に涙を浮かべて、「先生、津波が怖いです。日本は大変です。だから私たちはお祈りします。今日は、お祈りの日です」

あ、そう言うこと…


そうそう。朝の社会人クラスの学生もそうなんだけど、思いがけないところでちゃんと気を遣うんだよね。この子たち。というか、ベトナム人。

サッカーVリーグ公式戦、ダナンVSカインホアを見に行ったときも、選手、観客の黙祷に驚いた。大学の守衛のおじさんは「先生、日本が大変だけど、頑張ってくれ」と泣きそうな顔で握手してくれた。震災の数日後、オーストラリアに出張中の校長にかわり、副校長が授業直前の教室を訪ねてくれ、学生に訓示した後、「大学を代表してお見舞いを申し上げます。先生のお気持ちを察しています。しかし、この学生たちのために頑張ってほしい。」と、丁寧な英語で激励してくださった。

相手の気持ち、思いに気づき、察し、思いやり、相手に接することができるのは、日本人のお家芸ではなかったのかなあ?

最近、日本から来るメール、mixiやアメブロからのメッセージ、ツイッターのDMなどなど、「安全な場所にいて、羨ましい」だとか、「毎日美味しい食事ができていい身分ですね」だとか、そんなのばかり。事実だからかまわないのだけど、では、海外にいて限られた日本からの情報に一喜一憂し、まして日本の状況を知れば知るほど、何もできない自分と葛藤し、加えて自己の進路に大変に大きな不安を抱える学生たちの心を一人で支えている僕は、「いい身分」なのか?(笑)

いや、うん、「いい身分」なんだよ。させていただいてるんだから。
こんなにグラグラ揺れている学生たちの心を支える、守るような教師としての経験は、20年以上教壇に立って初めての経験なのだから。

って書くと、被災地の教員の方が…って、来るんだろうね(笑)
わかってるよ、そんなことは。もう、どちらがって言う比較論でなんちゃら言うのはやめません?
どこにいたって、実際に揺れてなくったって、大変なものは大変なんだ。

それから、九州くんだりからわざわざメールで「被災地の人の心を考えたら、海外で贅沢に日本食食べるような真似は不謹慎だ」と言ってきた輩(正確に言うと学生時代の先輩)がいたんだけど、九州じゃあ皆さん外食もされず、自宅で食事して、酒も飲んでないんでしょうね(笑)


さあ、愚痴はやめよう。

学生たち、一瞬のお祈りの後は、それはもう大騒ぎ。自分たちのストレス発散大会に戻ったんだけど。

知らないよ〜。風邪引いて授業休んでも、知らね〜からな(笑)
中には完全に水に浸かっちゃった女子学生もいたんだけど、着替えを持ってきていたから確信犯でんな(笑)

海の後は、お食事。バインカン。

学生たちが時々来るという、場末の、小さな、キタナイ感じのお店。
こういう店は、、、、、

おいしい!(笑)そして、お店の人が「いい人」なことが多い…
案の定、学生たちを母親のように気遣い(10年前のハノイの、勤務校の前のチャオガ-(鳥粥)屋台のマダム、リーさんを思い出すなあ)、僕を「先生」と気づくと丁寧に挨拶してくれる。そして、店内のお客たちに「日本人の、日本語の先生だ」と紹介してくれたようで、「TSUNAMI、GANBATE!」と言ってくれた酒臭いおっさん(笑)ありがとね。

〆は、アイスクリーム。


椰子の実味のアイスなのだ。

さあ、気分転換したら、がんばって勉強しますかね。

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