鉄道橋を直す人

もう先週の話なのだが、近所の日本料理店でオモシロイ方と出会った。
(株)日本構造橋梁研究所のKさんとおっしゃる方なのだが、

ベトナム統一鉄道の橋を、ひとつひとつ改修していくお仕事をされているのだそうだ。

統一鉄道は、北のハノイと南のサイゴン、1,726キロを結ぶベトナム随一の大動脈であるのだけど、如何せん遅すぎる。
一部に30時間を切る特急列車も運転されているのだが、30時間から40時間以上かかる列車もある。現在高速化を進めており、日本の新幹線システムの採用という話もあるわけなのだが、実現は相当先の話。

そもそも、ほぼ全線が単線であり、信号システムも駅構内のみ。日本では全廃された腕木式信号も活躍しているが、、、、要するに駅間に1本しか列車が入れないわけで、当然、行き違いのための待機時間が長くなる。しかも、全区間非電化でチェコなど旧東ヨーロッパ製の老巧機関車が
動力なため、表定速度(停まっている時間も含めた、都市間移動の平均速度)は、最速列車でたったの52キロ。遅い列車だと40キロにも満たないのだ。

以前から何でこんなに遅いの?と思っていたのだけど、その理由のひとつに「鉄橋の老巧化」がある。

ベトナム戦争時、まあ、ベトナムに限らず戦争はそう言うモノなのだけど、攻撃目標のひとつに橋がある。ハノイのロンビエン橋では、ライフルを持った兵士が縄で身体を橋に縛り付け、攻撃してくる米軍機をライフルで迎撃したという話も残っている。

そう、鉄道の橋は兵力や武器等の輸送経路を断ち切るには、簡単な攻撃目標なのだ。
だから、統一鉄道の鉄橋も、当時はズタズタにされ、落とされた橋も多かったわけ。それを補修して使っているわけだから、、、、正直に言ってスピードを出して渡ると振動でいつ落ちてもおかしくないのだそうだ…。

そう言えば、徐行しているなあと思うと、いつも橋の上だった記憶がある。

Kさんは、そんな統一鉄道の橋を、ひとつひとつ改修し、掛け替えて行くお仕事をされている。
そう、ODAで新幹線を作るよりも、橋を付け替える方が早いし、手っ取り早いのだ。お話を聞いていて、何かね、夢のある話だなと思った。

日本料理店で、チームKの教え子(要するに店員(笑))が、中途半端に覚えた日本語で接客しようとして見事に轟沈(笑)Kさんに間違いを指摘されて立ち往生していたので、ちょっと助け船を出したのがきっかけで相席させて頂いた。

そして、お互いの身の上を語るうちに、互いの仕事に興味を持ったと言う話。

なかなかお会いする機会もないのだが、一度ゆっくりお話を伺いたい人物である。


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